ぼくにとっては、起こりうるコト、全てが仕事で、全てが芸術だ。全てがリンクする。

来客のリクエストになるべく対応しているが、住んでいる場所柄「案内してくれ」という注文が多い。つまりツアーガイドの仕事だ。クライアントは不動産や車関係、バス会社からのコネクション、釣り関係、音楽関係、雑誌関係等により発生する。

自分は、新宿にいつもいるとはいえ、夜遊びはまったくしない(ホント)しかし、新宿と聞くと人々は「夜遊び」を連語する。そんな刺客のリクエストはいつも「なるべくエロく」だ(爆)しかし、セックスそのものであれば、置屋にダイレクトコネクションすれば良いのだが、女性の場合は、刺激だけを求める場合が多い。

海外からの観光客を乗せたツアーもあるが、蝶ネクタイが林立する某所で黒服に「外人」と言うと、即断られる。言葉が通じないのでトラブルも多い。

今回は、N.Y.滞在経験、ブラウンのボーイフレンド、シンガー、それらを経て、小説を執筆すると云う。不思議なことがあると、携帯に常にメモ書きしている彼女は19歳純粋ジャパニーズだ。この取材が終わると、またN.Y.に行くという。ぼくは、20年前に他界した小説家Aのガイドを思い出した。あの時も取材熱心だった。「恍惚の人」といえばわかるだろう。

彼女には、レズビアンバー、ゲイバー、ストリップ、歌舞伎町、2丁目、浅草、吉原、赤坂や六本木、狸穴坂、品川まで、都会と人間の迫真練磨の様子を見せた。人間100人居れば、100通りの生き方がある。それらが、また複雑にリンクしてゆく。

この中で、ぼくは「人間の根底にあるものを目指し、それらを総合的に表現する芸術」を改めて観覧した時、思った。

このショーは、JAZZFUSIONやスティング、雅楽から中国民謡、POPSからラグタイ
ムまで、あらゆる音楽を融合し、素晴らしい照明、ダンス、ストーリー、エロチ
ジムの表現、そして観客。これらが一体となってリンクし素晴らしい「芸術」と
して表現されていることを確認した。浅草のロック座である。トップソロプレイ
ヤー自身の筋肉が微動打も無くストレートに伸びる美脚、熟練した動きと、自ら
の「エロ」の体験を凝縮し、それらがダンサーの目の輝きに露に映し出され、無
言の舞により男性に訴える。男性のみというより、人間の芯にあるものを醸し出
し人間に訴えかけている。

こうやって書いていると、ぼく自身も1冊以上の脚(ほん)が書けそうだ。ある
ライターにも「あなたのことについて1冊の本にしたい」とハンバーガーショッ
プで取材を受けているときに、冗談で云われたことがあるが、今回取材に来た彼
女も「あなたこそ、本を書きなさい」と言われた。

ぼくは、「いや、自分よりも、他人の笑顔を見ることが好きなので、まだ人生折
り返し地点、やりたいことが沢山あります」と答えると、歩き疲れて、ぼくにお
んぶされたまま「あなたのようにタフで、若く見える人は始めてみた。N.Y.に一
緒に来ませんか?」と彼女は半分眠りながら答えた。

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